1 新幹線の車窓から茶畑が見える
  [初出] 02.06.21  [最終更新]  [平均面白度] 3.67  [投票数] 3  [コメント数] 0
静岡界隈を走る東海道新幹線の車窓からは茶畑をよく見かける。山間部を駈け抜ける時、時折小さな盆地が出現し、その中は一面の茶畑になっている。こんもりと刈り込まれた濃い緑の茶樹は見ているだけでもさわやかな気分にしてくれる。つかのまに視界から飛び去る時間の幅であっても。

車窓から見る限り、茶の木は大きくはない。せいぜい大人の腰くらいのように見える。

ずいぶん前のことだけれど、こうした景色を見ながら、ふと疑問が浮かんだ。あの木一本でどれくらいの茶が採れるんだろう。あの木一本でわたしが一年に飲むお茶をまかないきれるのだろうか。

ビールを飲みながら、その疑問を隣に座っているツマにぶつけてみる。

「そりゃ無理でしょう。だってお茶は新芽だけを摘むんでしょ。いくらなんでも採れるわけないでしょ。ま、一人五本は必要だね」

もとより何の根拠のある話でもない。口からでまかせである。

「だったら、日本中に6億本のお茶の木が必要になるってことだぜ。そんなに植えたら、日本中お茶だらけになってしまう」

この反論も同じく何の根拠もない。たんなるかけ算と推測だけだ。だいたい、自分が年間どれくらいのお茶を消費しているかも知らないで言っている。

議論の生産性の低さを早くも見抜いたツマは、そのまま雑誌に戻る。仕方なしにわたしもビールと車窓からの景色に戻る。しかし、それ以来、ずっと疑問はくすぶりつづけた。

わたしのティータイムを支えるために、何本のお茶の木が必要なんだろうか。
《→このページの先頭へ》

この記事は面白かったですか?

お読みになっての印象を5段階評価のボタンを選び「投票」ボタンをクリックしてください。

つまらなかった           おもしろかった  

 

≪この記事に対していただいた「投票」3件、「平均面白度」3.67≫

いただいたコメント

コメントを書く

  
メールアドレスはWeb上では公開されません