6 タバスコ戦争
  [初出] 01.06.20  [最終更新]  [平均面白度] 5  [投票数] 2  [コメント数] 0
「トウガラシの文化誌」の6章、7章はタバスコソースが話題になっている。6章が「タバスコ誕生」、7章が「タバスコ戦争」。

ぼくたちがよく見かけるタバスコソースの生誕から、企業としての発展の物語だ。

タバスコというのは、もともとメキシコの地名であり、かつ、トウガラシの品種名だ。このトウガラシの種を入手したグルメの銀行家エドモント・マケルヘニーが、苦労の末作り上げたのがタバスコソースだという。

で、現在、この製品は世界を席巻し(本書によると、その最大の得意先は日本だそうだ)、マケルヘニー社は押しも押されもしない大会社に発展した。

それだけなら、一種の美談である。

でもねえ、この本によると、どうもマケルヘニー社のやりくちは、どうかと思う。20世紀のはじめから、マケルヘニー社は「タバスコ」という商標を巡って、あるいはタバスコ種から作る辛味ソースの製法を巡って、はてしない訴訟を繰り返し、とうとうその権利を独占しちゃったのだという。

こんなことを言うとなんだけど、この本によると、公正な裁判でもなさそうな気配。

そして現在は、もともと一般名詞であるはずのコトバが一企業に独占されているのである。

こういうのってヤな感じだなあ。もちろんぼくだって(世界の七不思議の死海事件以来)本に書いてあることを鵜呑みにするわけじゃない。しかしねえ。

実は前々から、ぼくはタバスコがあまり好きじゃなかった。何となれば、金属の味がするでしょ。銀箔かなんかをかじったときに感じる感じ。電池の味って言ってもいい。

あれが、あまり好かなかった。きっとこれからはタバスコを買わなくなるんじゃないかなあ。ま、かんずりがあるから、いいのである。

で、このいわれ無き義憤もどきをエネルギーに、最後の章まで読破。最後の章にはおもしろいことが書いてあった。鳥や牛などの動物までが、トウガラシの辛味に“目覚める”というのだ。

「鳥は完全に無感覚だ。わたしたちは、鳥に二パーセントのカプサイシン溶液を与えた。それが溶解度の限界だ。人なら死ぬよ。だが、鳥は喜んで飲むんだ」


ただ、かれらが無感覚なわけではなく、牛や犬、サルなどの動物が、最初は食べないトウガラシを徐々に好きになっていき、後になると、辛味のついていない餌をあたえると「がっかりした顔」をするというのだ。

やっぱ、トウガラシは合法的な麻薬だな。いまに国連決議かなんかで食べられないようになるかもしれない。今のうちにちゃんと味わっておこう。
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