1 上杉謙信はかんずりを舐めたか
  [初出] 01.06.01  [最終更新]  [平均面白度] 4.42  [投票数] 19  [コメント数] 1
越後湯沢に遊びに行った帰りがけ、駅前の湯沢水産の売店に寄って買い物をしたんだけれど、その時、同行のじんべえさんが、「越後に来たなら、これだよ」と示したのが「かんずり」だった。

練りウニの瓶詰めのビンと同サイズのものが500円。なんじゃこれ、知らんぞ、と即、購入しました(こういうのはぼくのいつもの行動パターンだな)。

「珍味かんずり(寒作里)は地場産の唐辛子を雪にさらした後、塩、麹、柚子等と混合し、3年間熟成させた当社の混合香辛料です」とラベルに記されている。

要するに、唐辛子ベースのペースト状のソースである。ペースト状になっているところは豆板醤のようなものでもあり、塩と菌で熟成させるという点ではタバスコのようなものでもある。

またラベルには「上杉謙信陣中糧秣」とも記されている。

ホントかよ。と思う。

というのも唐辛子はメキシコあたりが原産で、ということは、旧世界に紹介されたのは「イヨクニ見えるコロンブス」以降ってことだ。上杉謙信は16世紀半ばには死んでいるはずだからコロンブスから100年経たないで、極東の越後まで到達し、かつ、手の込んだ加工法まで確立したことになる。

帰りの車の中で、そんなことを漠然と考えていた。

で、帰ってきてから調べたんだけど、びっくりしたね。
ヨーロッパにはコロンブスによって1493年にスペインに入った。
1548年にはイギリスに入り、16世紀の中ごろにはヨーロッパ全域に
広まり、辛味食品として注目された。東洋に伝播したのは16世紀で、
インド、東南アジア、中国へと急速に広まり、17世紀には東南アジア
各地で栽培され、それらの地域では現在、重要な香辛食品となった。
日本へ伝播したのは16世紀のことで、1542年(天文11)ポルトガル
人によって伝来した。南蛮船が中国の港を経て長崎にこれをもたらし
たということで、唐(中国)の芥子とよばれ、また南蛮ともよんだ。
(小学館、日本大百科全書)

ホントに上杉謙信(1530〜1578)陣中で唐辛子が使われていたかはこれだけではわからないが、少なくとも、時代的にまったくあわない、ということはない。

タバコにしても、梅毒にしても、アメリカ大陸出自のものの伝搬速度は思いっきり早いもんだなあ。

帰宅後の夕食は湯豆腐にして、さっそく「かんずり」を試してみた。けっこうしょっぱく、柚子の香りがするものの、辛さはそうでもない。味の系列としては、タバスコなどのペッパーソースに似ている。

「醤油に溶いて湯豆腐に」みたいなことが書いてあるが、ポン酢などに浸けた豆腐に直接塗って(刺し身のワサビみたいな感じ)食べるほうが、味にバラエティが出て楽しい。

すっかりかんずりのファンになってしまった。これが昨年の末ちかく。

以来、唐辛子のことが気にかかっている。

かんずりの製造元のURLは以下の通り
http://www.arai120.gr.jp/m/kanzuri/
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いただいたコメント

かとさん さんによるコメント
はじめまして。

以下は、販売店のクレーム話から縁がついた、「虎杖浜 竹丸渋谷水産」さんへのメールです。

たらこ加工といえば、魚屋さんまでもが、推薦するほどのメーカーなのですね。実に高級かつ美味。数々の賞を独り占めしているほど。

やりとりする話の中で、かんずりが出てきて、今、竹丸渋谷水産でも、かんずりめんたいの試作を作る。。。というところまで、盛り上がっています。

かんずりつながりで、よろしかったら、お読み下さい。







こんにちは。



昨夜、昆布〆たらこの解凍したものを口にしてみました。

一口食べて、おっしゃりたいことが分かりましたよ。

なるほど。これで酒を飲んでくださいと。そういうことですね。

ご飯のおかずじゃないんだと。

口にしてみて、よほど酒好きの人が調味したのだろうなと思いました。



確かに、日本酒にも、焼酎にも合いますね。

思わず、我が家秘蔵の「ひむかあくがれ」を棚奥から出して

ゆっくりと楽しみました。http://www.tominotsuyu.jp/contents/company.html





九州に行ったとき、あの辛子明太子のぶつ切りを小皿にとり、ほぐして少量ずつ食べていたら、笑われてしまいました。

「そうやってチマチマ食べるもんじゃなか。明太子は一口じゃ」

言うなり、大きく切った、辛いが唐辛子の香りが豊かなめんたいこをぱくりと。

豪快だけれど、あれじゃあしょっぱいだろうなと思ったのでした。



この昆布ジメたらこなら、薄味に漬け込んであるので、同じことが

できますね。

酒のつまみになりやすいように、あえて完熟の魚卵を使ったのでしょう。

食感も、あえて差別化してある。

舌の上でサラリとほどけるようにしてあるわけですね。



「珍しいものを口にしたなあ」というのが正直な感想です。

これからも、美味しいたらこ作りを続けて下さい。







ところで、「かんずり」という唐辛子ペーストをご存知ですか?

上杉謙信公が兵糧の菜にしたという、新潟県に伝わる唐辛子の保存食調味料です。

北海道でも比較的楽に手に入るようです。

中国に豆板醤、韓国にゴチュジャンがあるように、半島に面した日本海側の新潟にも同様の唐辛子ペーストが存在するのです。

実は、僕はこれがないと生きていけない。



寒い時期に作るので、「寒作り」が語源。

唐辛子を雪にさらしてアクを抜き、柚子の皮、麹、塩とともに5年ほど漬け込んだものです。

生寒ずりと、普通のかんずりがありますが、生の方は風味が高いが味が変わりやすいので

醸造元でしか売ってくれません。



何ともいえない、柚子の皮と唐辛子の香り。きっと川中島の合戦でも、上杉軍の兵達が飯になすりつけて食べたのでしょう。

地元では調味料というよりも、ご飯につけて食べているようです。

おいしいたらこが手に入ると、必ず、僕は小皿の上で、ほぐしたたらこと、このかんずりを和えて食べるのです。

絶品この上ないですね。辛子明太子も美味いが、この繊細さにはかなわない。

「かんずりめんたい」が手に入ったらいいなあと思っていたら、

新潟に行ったときに、すでに売っていました。

しかし、「たらこの鮮度に信頼性が無い」ので買いませんでした。

あんまりぱっとしない感じ。パッケージや販売販路など、あまり、詰めて考えていないようでした。実験販売の段階かもしれませんね。



こうした一流品同士のコラボレーションによる新製品ができたら、消費者としては、どんなに嬉しいことでしょう。

付加価値も上がるはずです。



それではまた。



かんずりHP

http://www.haneuma.net/kanzuri/

[2006.11.27  #394]

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