9 その退廃を批判する
  [初出] 03.02.12  [最終更新]  [平均面白度] 4.8  [投票数] 5  [コメント数] 0
横浜市西区がアザラシのタマちゃんに住民票を交付したという。実にメデタイ。ほんと、メデタイ。まったくオメデタイことだと思う。

このニュースによって、我々にはふたつのことが明らかになった。そのひとつは、住民票をはじめとする戸籍制度ってのは、まさにふざけたものであること。もうひとつは西区区役所職員は(全員とまでは言わないまでも)大馬鹿野郎だってことだ。

アゴヒゲアザラシに住民票が出せるのなら、中区に住む犬やネコにも出せるってことになる。ペットのミドリガメやカメレオンにも出せるってことだ。スズメやハトにはどうなんだ。テントウムシやゴキブリにだって出せる。いや、そうじゃない。アザラシは「かわいいから」「めずらしいから」「人気があるから」特別なんだ、というなら、住民票ってのは役所の恣意で出せるってことだ。自分の気に入った相手に住民票を出す。そうじゃない相手には住民票を交付しない。こういう構図を西区区役所ははしなくも露呈したわけだ。

横浜市西区は横浜市の中でもホームレスが多いことでも有名である。彼らはあきらかに西区の中で暮らしているにもかかわらず、確たる住居がない、という理由で住民票は交付されていないはずだ。西区の川にときどきやってきて「野宿」しているアザラシに住民票を交付することが、桜木町などの路上に住む人々の住民票をどうするか、ということより優先する問題である、と区役所が認めたということでもある。

永住者や外国籍配偶者をふくめ、外国籍の人々は住民票に記載されていない。つまりアザラシは税金も払っていないし、確たる住所も有していないけど、「本人」の意図と無関係にホイホイと住民票を出す。税金も支払っているし、市民として地域社会のために日々努力を積み重ねている外国人には住民票は出さない。外国人に住民票を出さないことの是非はここでは問わない。それにはそれのリクツがあろうし、事情もあろう。しかし、今回のことで、そんなリクツや事情ってのが、まったく首尾一貫もしていなければ、どのような理論的背景も、まったくないってことが白日のもとにさらされたわけだ。今回のことで、住民票ってのは、法律とか理論とかとはまったく無縁に、ただお役所の好き好き、思いつきでどうとでもなるってことが明らかになったわけだ。単に西区区役所がガイジン嫌いであるだけのことだよね、ということが世間に明確に示された。

どこの世界でもお調子者はいる。アザラシが人気だから、というアホな理由で、区の認知度アップのために、「どうだ、ひとつ住民票でも交付したら」と言い出すヤカラはいるだろう。でもそういう時に、そんなオチャラケタことはできはせんのです、としっかり言いきるのが、公務員としての誇りじゃなかったのか。

もちろん、あのアザラシに交付したものは、正式の住民票じゃない。ま、いってみればウソっこと住民票だ。いわばジョークの類いですよ、と言いたいのかもしれない。でもそのことが住民票というシステム、ひいては戸籍というシステムそのものをジョーク化するものだとは、彼らは感じないのだろうか。自分たちの仕事・職分をどう考えているのだろうか。行政マンとしての矜持はどこに落としてしまったんだ。

このサイトを以前から読んでいただいているかたはおわかりかと思うが、ぼくはなるべく人様の批判とか、罵倒とかをしないで生きていきたいと、ずっと思い続けてきている人間である。なんと言っても、弱気で軟弱だから、できれば人様と角つきあわすということは避けていきたいと考えている。しかし、このことについては、どう考えても、不快感を隠すことはできない。

はっきり言うけど、この件の関係者は、大馬鹿野郎である。「恥を知れ」とぼくは言いたい。間違っているかしら。
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