17 タカシマヤのASIMO
  [初出] 2003.05.15  [最終更新]  [平均面白度] 3.5  [投票数] 2  [コメント数] 0
新宿へでかける用があった。であるならやはりASIMOだろうというわけで、タカシマヤへ。

ホンダのロボットASIMOが年間2000万円のリース料で1年間タカシマヤの「社員」になったというニュースはひと月ほど前に読んでいた。1日2回ほど接客業務を行うとも。

タカシマヤのWebページを見ると、5月21日までは新宿店で、午前11時と午後4時の2回出動するとある。そこで午後4時に1FのJR口に。

生でASIMOを見るのは初めて。それはそれで大きく満足した。テレビでは何度も見ていたのだが、直に至近距離から見ると、やはりすごい。

店の入り口ちかくの一角にコーナーをつくり、人が入ってこれないようになっている。そこに演説台のような制御台が設置され、中年男性が2台のノートパソコンを操っており、もうひとりの中年男性が傍らにたたずんでいる。そこにASIMO登場。

手をふったりお辞儀をしたりタカシマヤの催し物の紹介をする。めったに歩かないが、歩くときは床に付けられた3ケ所のマークの間を移動する。

出動は1時間である。この間、見物客の人数は増減するが、最大時には雨天の平日でありながら50名くらいはあったろうか。場所柄か中年女性の比率が多く、彼女達はさかんに「かわいいわねえ」「あら上手に歩くのねえ」などと嬌声を発している。ASIMOが「ゲッツ」とギャグをかまし、おばさんたちは陽気に笑う。

ASIMOの持ちネタはさして多くない。10分ほどでローテーションがおわり、また最初と同じようなことをやりはじめる。決まり切ったことをやっているのではないことは、ごくまれに「ペアルックがすてきですね」とかというような“インタラクティブ”なことを言い出すのでもわかる。ぼくに対しても「帽子がよくお似合いですね」と抜かしやがった。

とりあえず、ASIMOを身近に見られたことは満足であった。

しかし、別段ぼくが言うことでもないんだけど、タカシマヤにとっては、これは最悪のショーに近いものだろう。2000万円をドブに捨てたとまでは言わないが、ずいぶん効果のない投資であるように思う。

演出が最低なのだ。まず、操作卓の中年男性。彼はずっとコンピュータを操っている。ついでに言うなら、彼は顔もこわいし、にこりともしない。実際のところどうなっているかはわからないが、観客はあのオッサンがリモコンですべての操作をコントロールしていると思い込むだろう。リモコン操作のロボットが「赤い洋服がステキですね」なんて言ったとしても、それはそのセリフのボタンを押しただけなんだから、驚きもなにもありはしない。人間がコントロールしなければ動かないにしても、なぜ操作者を観客の目から隠すという工夫をしないのか、不思議でならない。
ASIMOと操作者たち
たしかに歩行の素晴らしさなどは、ロボットもとうとうここまで来たかという驚きを感じるのだが、その賛嘆はホンダにしか向けられるものではない。ASIMOの胸にはタカシマヤのロゴがついているが、それなんかコンサドーレサッポロのユニフォームの白い恋人達よりはるかに影が薄い。

ASIMOの潜在的な能力をもってすれば、1時間程度のショーを演出するのはたやすいことであるだろう。司会役を配するだけでもずいぶん違うだろうし、ASIMOと握手とか記念撮影なんかをしたら、それ目当ての観客も激増するだろう。少々あざといがそのサービスを受けるにはタカシマヤ友の会のメンバーに限定するという手もある。

あたら逸材が生出演しているのにもかかわらず、劣悪な演出のせいで、観客は10分もたたないうちにその場を離れていく。

惜しい。ASIMOにとっても、タカシマヤにとっても。
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