12 ふしあわせの増幅
  [初出] 03.04.04  [最終更新]  [平均面白度] 4.67  [投票数] 3  [コメント数] 0
深夜の電話はココロに悪い。もしや不吉なメッセージを運んでくるのではと予感させるから。この「心臓に悪い」電話が、ときどきかかってくる。ウチにある電話回線のひとつはISDNで、3つの番号に別れている。ひとつはファクス。この3つの回線が順になり出す。1,2回なって、すぐにやむ。出てもだれも答えない。携帯でいうところのワン切りに似ている。

言うまでもないが、非常に不愉快だ。

で、こうした深夜のできごとがあって、数日以内に、こんどは昼間に電話がかかってくる。NTTの代理店で工事を担当しているとかなんとか言って、ISDNの不具合で1回きりの着信が頻発してるでしょう、などと言ってくる。わたしは「いいえ」と答えて、電話を切る。

もしかしたら、その代理店とやらの言っていることが正しいのかもしれない。なにか障害があって、その障害のせいで深夜の着信があるのかもしれない。だから彼の主張をちゃんと聞いて、その会話の延長線上に提案されるであろう対策を依頼するのがいいのかもしれない。

しかし、わたしはそれをしない。もしそうなら、こうしたかたちではなく、まず文書でNTTがなにやらのことを言ってくるのがスジだと思うし、おそらくそうであるハズだからである。つまり、代理店とやらのアプローチは、限りなくサギに近いなにかだと思っているのだ。

ウチの番号にたいして「ワン切り」電話を発信する自動プログラムを作るのはごくごく容易だ。それを深夜に回しておいて、翌日なり翌々日なりに、「そういうこと、ありませんでした?」と言ってアプローチをかけてくる。「ありますあります、困っているんです、不愉快なんです」なんて答えると、続いて(おそらく)××をとりかえなきゃならない、工事費は……となる。

そういう風に話が進むと、わたしはそこで反論したり、質問をしたりするだろう。帰ってくるのはかなりわたしをイライラさせる答えであるだろう。議論のなりゆきで、わたしは心ならずも声をあらげたりするかもしれない。この「会話」を行うこと自体が、もうすでに「被害」である。こんなつまらない事柄・相手に対し、なんで声をあらげなきゃならないのか。

そうした「被害」を未然に防止するために、わたしはもしかしたら相手の言っていることが正しいかも、と思いつつも、「いいえ」と答えて静かに電話を切るのだ。

「NTT代理店」からの電話はこの他にも多い。「代理店」ではなく「NTT」もしくは「NTTの工事をしているもの」からの電話もある。たとえば「電話の回線改修工事でこの地域の電話回線が新しくなります。この工事のために調査をしているのですが、おたくの電話は何回線ありますか? ファクスは使ってますか? その機種は……」というような内容。「なんでそれを教えなきゃならないの?」というような質問をすると、ガチャンと相手から電話を切ってくる。もしくは相手の会話をさえぎって「NTTさんですか」ときくと「そうだ」と答えるから、「じゃあ電話番号を言ってくれ、こっちからかけ直すから」というと、これまたガチャン。

ともあれ、こういう時代になっちまったんである。

ウチはボロの木造住宅だ。屋根の具合も相当に悪い。そろそろ葺き替えたほうがいいのだろう。そこを見越して男がやってくる。屋根の工事を行っている「有名な会社」だ、と名乗る。カタログに「使用前使用後」の写真を掲載したい。ついてはおたくにモデルになってもらいたい。費用は弊社で「ほとんど」出すので、どうかモデルになってくれないだろうか。

「有名な会社」なら実績があるだろう。いろんなとこで工事をやっているだろう。だったらそこの写真を掲載すればいいのだ。施主にはいくばくかのお礼を包めばいいだろう。なんでそうしない。もしわたしがそこの会社のメンバーならそうする。もしそうしないとするなら、理由はひとつだ。サギ的な営業をしたい場合のみ。それしか考えられないじゃないか。ゆえにわたしは断る。理由までは言わないけれどね。

家の土台に通風口がある。そこにメッシュをはらないとネズミが侵入する。いま、近所でこの工事をしている。よってすぐに格安で工事をしてあげる、といって作業服の二人組が来る。断ってもしつこく食い下がる。そこでわが家では統一対策を決めた。まず、名刺、カタログの提示を求めるというもの。現在までのところ、これで100%彼らは帰っていく。つまり結果的に言えば、名刺もカタログも提示できないってことだ。名乗れないってことだ。

こういう「攻撃」が昨今、急激に増加した。それは逆をかえせば、こうした方法論でもって生活している人が急増しているということでもある。こうしたやり方で仕事をしていれば、結局のところ、彼らはシアワセな人生を送れないだろう。どこか、鬱屈したものが残るだろう。酒もうまくはなかろう。キモチもすさんでいくだろう。そんな人が増えているということなのだろう。

人さまのことはわからないながらその不幸が悲しい。
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