13 干し椎茸
  [初出] 2006.03.28  [最終更新]  [平均面白度] 4.18  [投票数] 17  [コメント数] 0
長い間なんとなく忘れていたというか、作らなかったのだが、さいきんまた思い出してよくこしらえているのが「蟹のないかに玉」だ。なんのことない、具入の中華風オムレツもどきに甘酢あんを掛けたものである。週一以上のペースで作っている。ま、そのうちまた忘れ去られてしまうでだろうが。

具はなんでもいい。椎茸と水煮のタケノコとショウガとネギってとこかな。キクラゲを入れてもいいし、ピーマンとかも可かと。これをまずほんの少しの塩をふって中華鍋で炒める。そこに溶き卵を投入して、ジュルっという状態にまとめる。フワっとさせるとオムレツになり、ジュルっとさせるとかに玉風になるような気がする。ごま油を最後にひとたらししてなべを振り、ウラオモテをこころもち焼く。

それを皿にとり、空けた中華鍋で甘酢あんを手早く作って、卵の上にドロっとかけてできあがり。

単純簡単でしっぱいがなく、短時間でできてしまうのがいい。下準備をいれても10分もかからないだろう。

卵にも具にも、ほとんど味付けをしないので、調味はもっぱらアンが受け持つことになる。

このアンの作り方はキホンはスープに砂糖・塩・胡椒・酢を入れて煮立てて水溶き片栗粉で止めるというものなのだが、ここで問題になるのはベースの「スープ」だ。最初はそれに中華スープの素を使っていた。ウチではペースト状になっている「味覇(ウェイハー)」というのを使っている。これはウマいんだけど、ずいぶんしょっぱい。うまくやればいいのだろうが、どうもいつも味が濃くなりすぎる。かといってスープの素の使用量を少なくすると、おいしくない。

そこでスープの素をやめて、干し椎茸の戻し汁だけを使うことにしたところ、とても具合がいいということがわかった。戻し汁に砂糖・塩・黒酢、気分でカキ油などを入れるだけ。あっさりとしつつ、味わい深いアンに到達できた。

このレシピでの「蟹なしかに玉」の登場回数が増えると、勢い、干し椎茸のことを考えざるをえない。

うまい干し椎茸って、どうしてこんなに高いのか、と。生の椎茸は昨今、びっくりするほど安価なのに、干し椎茸は昔ながらに高価だ。生椎茸が安くなったのは中国産が大量に入ってくるようになってからだろうが、今や、国産のものもつられて安くなっている。一山100円。なんだか生産者に申し訳ないような値段だ。これを天日干しにすればどうだろうと、長い間ぼんやり考えていたのだが、アクションには至らなかった。干し椎茸は通常装備アイテムだから、いつも在庫があるってことも影響しているかもしれない。在庫があるものを作ることには積極的になれないし、いざ、在庫切れになるとあわてて買ってきてしまう。

蟹なしかに玉を頻繁につくるようになると、自家製干し椎茸への夢想もふくらんでくる。そんなおりにツマが100円ショップで天日干し用のネットを見つけて買ってた。網が円筒状になっており、サイドにファスナーの出し入れ口がついており、ぶらさげるためのヒモ付き。

そんじゃあ、やってみるべえ、というような軽いノリで、100円のヒモノネットに椎茸一山をいれ、日当りのいい軒先にぶらさげる。ヤルゾという高揚感なんかはほとんどない散文的なスタートだった。

4日ほどそのまま干し続けたところ、あれよあれよという間に、乾燥し、小さくなり、軽くなる。なんだかあっけないほどすんなりと干し椎茸になっちゃった。ぼくは何もしていない。ただ、軒先に昼夜を問わずぶらさげておいただけ。こんなんでいいのだろうか。

触ってみると、市販の干し椎茸より心持ち柔らかいような気もするが、何をもって完成なのだかよくわからないので、戻して「蟹なしかに玉」を作ってみる。今日は豪勢にかにかまぼこ入りである。

自家製の干し椎茸はキッチンばさみで細かく砕いて冷水で1時間戻す。NHKの「試してガッテン」でこうするのがいいと言っていたらしい。戻った椎茸は、いつものよりふにゃふにゃしている。柔らかいと言ってもいいかもしれない。

これで作った蟹なしかに玉はいつものよりもウマかった。椎茸は歯ごたえにかけるのが少し気になるが、味はいつものよりいいように思える。

なんだ。こんな簡単なことだったんだ。こんなことでできちゃうんだ、と感激した。椎茸は120円。生産設備を入れても220円だからなあ。労力も「買ってきたら冷蔵庫に入れる」のとほぼ変わらないほどの作業しかしていないしなあ。

びっくりしました。干し椎茸は自家製に限る。そう思いました。

ぼくは自営で終日家にいる。梅干しなんかは、この「在宅」という条件が製作にとって重要なポイントになるかもしれない。でも、干し椎茸はそんな条件も関係がない。雨さえあたらなければいいわけだから、お勤めの方でも、ベランダなんかにぶらさげておけばいいのだ。もちろんマンションでも可。

なんでも、最近の市販の干し椎茸は天日干ししていないのも多いらしい。そりゃそうでしょう。商売として大量に作る場合、太陽に当てようと思えば、広い地所がいるし、手間もかかる。乾燥機かなんかでぼわーっとやっちまったほうがいい。でも、太陽にあてることでビタミンDが増えるそうだ。だから、買ってきた干し椎茸も30分程度日に当ててから使うのが、栄養的にも味の上でもいいんだそうだ。

だったら、はじめっから生を干した方がいいよね。手間もかからないんだし。
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