12 大泉一貫「ニッポンのコメ」
  [初出] 2003.08.09  [最終更新]  [平均面白度] 4.4  [投票数] 5  [コメント数] 0
コメ問題に関する本は意外に少ない。

いや、あることはあるのですよ。考えようによっては多いとも言える。特に80年代の終わりから95年くらいまでは、たくさん出版されていた。今でもそれは一応在庫扱いにはなっている。

しかし、2000年以降に出版された本は極めて少ないのだ。なんでなんだろう。

コメ問題の一般的知識を得ようとする場合、1995年以前の本はほとんど役にたたない。95年に大きく構造が変わっちゃったからだ。その上、この問題はフクザツカイキで、しっかりした本の1、2冊はちゃんと読んでおかないと、基本的な部分の理解もままならない。

そこでおすすめなのが、この本。大泉一貫の「ニッポンのコメ」(朝日選書 \1,100)。

コメの流通は非常にわかりにくい。まるで魔窟のようである。複雑なうえに、そこかしこに意地の悪いカラクリが仕込んである。

そうしたフクザツカイキなシクミが明快にわかる(ような気になるだけかもしれないんだけど)本が、この本だ。95年以降のコメをとりまく構造が了解できる。これは希有な本だ。

そのうえ、現状の分析だけにとどまらず、将来への展望も語られており、その論旨も非常に明快だ。特に生産調整(つまり減反ですな)が維持されてきたメカニズムと、それが将来機能しなくなるだろうという見通しは、やっぱり専門家は違うな、と息を飲む論理構成になっている。

この本にはコメ食え食え団思想につながるようなことは述べられていないし、またおそらく直接お話を聞けば反対されるんじゃないかとも思うのだが、食え食え団的には、必読図書だと思うんですね。

書いてあることは知らないことだらけで、そこここでへえ、ほおと思い続けながら読んだが、中でもここでヒザを打った。
大阪第一食糧のブレンド米は「タワラ印のハイゴールド」。表示は「一類が八〇%以上」という食糧庁が要求する必要的表示は載っているが、銘柄は載せていない。<中略>消費者にも「タワラ印が付いていれば味や品質にまちがいはない」という高い評価と絶対の信頼を得ている。
すごいな、さすが大阪。

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