5 天板の高さについての余談
  [初出] 03.04.19  [最終更新]  [平均面白度] 5  [投票数] 6  [コメント数] 0
部屋の改装工事はあっという間に終わり、本箱も大工さんの協力により新しくなった部屋に戻した。その際、本箱の背丈をツメてもらったので、旧押し入れ部分にまるで作り付けの棚のようにフィットした。

部屋は押し入れ部分をツブし、違い棚のような部分を取り去ったわけだから、その分が広くなったことはわかるのだが、体感的にはそれ以上の空間が出現した。とっても広い。

別の部屋に退避したものの多くをまだ戻していないのだから、今後どうなるかは不明ではあるものの、感覚の上では倍ほどは広い。調子に乗って、机を3台入れる。

以前、スタッフがいた頃に使っていた机の天板を出してきて、ひとつの机を作った。ありあわせのラックをふたつ脚の代用にして、その上に天板を差し渡す。上に乗ってゆさぶってみたが、強度的には十分であるようだ。

天板といえば、いままで畳の上においていた作業台もまた同じ種類の天板である。ホームセンターにテーブル用の天板として売っているヤツに脚ユニットをつけたもの。脚ユニットとは、円柱の端にネジを埋め込んであり、付属の金具を天板のウラにネジ止めして、その金具に円柱をつなぐことでテーブルの脚になるという具合の製品である。1本1500円程度。

この式のデスクをここ十余年ずっと使ってきた。いっちょまえに事務所だった時期もこれだった。ちゃんとした事務用デスクを使わずに、こうしたセミ・ハンドメイドの机を使っていたのは、一にぼくがケチであるからかもしれないのだが、他にも理由はある。

事務用のデスクはいくつもの欠点がある。まず、小さい。旧式のヤツは論外としても、最近のものでも幅1200奥行700だったらデカいほうである。幅はともかくとして、奥行きが圧倒的に短いと思うのだ。ここに17インチ程度のモニタを置き、その前にキーボードを置くとそれだけでもういっぱいになってしまう。モニタまでの距離がキーボードの幅しかなくなり、近すぎるし、また、ちょっとした作業(メモをとるとか、伝票を書くとか)の際にいちいちキーボードを動かさなければならない。資料を見ながらキーボードを打つというような作業もしづらい。

ダイニングテーブル用の天板なら、奥行きは800ある。この10cmがかなり利いてくる。

もうひとつは、高すぎる、ということだ。いや、値段のことではなく(値段も高いんだけど)、天板の物理的な高さ。現在のJISでは事務用デスクの天板の高さは72cmとなっている。ぼくがチビだからということもあるが、これではあまりに高い。まず事務用デスクは靴を履いているという状態を前提に設計される。靴を脱ぐタイプの部屋では、その分だけでも高い。

ピアノを弾く人に聞くと、鍵盤の高さは、腕を前に水平に突き出し、力を抜いて自然に下ろしたあたりにあるのが望ましいそうだ。コンピュータだって同じことであるだろう。

その高さになるまで椅子をあげ、その椅子に腰掛けると、足の裏が床に付かない。少なくともぼくには。足が床にちゃんと付くというのが疲れない椅子の最大要件である。ぼくは男性としては背が低いほうだが、女性でぼくより背の高い人は比較的まれである。どこの事務所にいっても、そのためか、机の下に足置きの台を置いている女性が多い。足置きは窮余の一策でしかない。なぜなら限られた面積の足置きにいつも足を乗せているということは、座った際の姿勢が固定されるということになるからだ。前にも書いたように、頻繁にそして自然にいろんな姿勢をとる、ということが座業の疲労軽減の最大のポイントである。

ユニット式の脚を使うことで、この問題がクリアされる。なぜなら、この脚はノコギリで簡単に切れるからだ。ウチの場合、天板の高さを65cmになるように脚をぶったぎって使っていた。これならちゃんと「ピアノ姿勢」を取っても、足の裏がぴったり床に付く。こういうデスクで作業をおこなうと、疲労度が全然変わってくる。

だいたい、人の体格は千差万別である。机の天板を72cmに固定するなんてことは、体格の差異を無視した暴挙だ。

テレビでは頻繁に「足のむくみを軽減する」ための製品のCFを流している。画面の作りを見ると、ターゲットはOLであるようだ。家に帰って足のウラに木酢液のはいったバンソコウみたいなのを貼り付けるより、机の天板の高さを自由にしたほうがいいのに、といつも思う。

まっとうな企業であれば、メンツもあるだろうからイトーキやコクヨのデスクを使うしかないだろう。しかし、いわゆるSOHOは違うはずだ。零細企業の多くは、そうした膠着的な恐竜システムから自由であるというところが強みのはず。なのに、零細企業でもなぜかJIS規格の事務用デスクを買ったりする。アホか。工夫しろ、と思わないでもない。シツレイながら。
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