2 大黒鯖の無音化
  [初出] 02.10.30  [最終更新]  [平均面白度] 2.5  [投票数] 2  [コメント数] 0
電話で申し込んで購入したDellのサーバはデカかった。203(W)×431(H)×495(D)mm。しかも黒かった。デカくて黒いから、素直にdaikokuと命名。つまり大黒様である。大黒柱のように、ウチのマシンのどっしり中心になってくれよ、という願いでもあり、七福神のなかでも商売繁盛の神さまであるというのも、まがいなりにも商家であるウチにぴったりでもある。

大黒はデカイだけではなく、音も大きい。事典を引くとこうある。

『元来ヒンドゥー教の主神の一で、青黒い身体をもつ破壊神としてのシバ神(大自在天)の別名であり、仏教に入ったもの。サンスクリット語のマハーカーラMahakalaの訳で、摩訶迦羅(まかから)と音写。マハーカーラは偉大な黒い神、偉大な時間(=破壊者)を意味する。密教では大自在天の眷属で三宝を愛し、飲食を豊かにする神で黒色忿怒相を示し、胎蔵界曼荼羅の外金剛部に入れられている。七福神の一。』(小学館、日本大百科全書)

黒色忿怒相かあ。

ずっと前にも書いたが、私は音に弱い。かつてはあれこれコンピュータの音を小さくする工夫をしていたのだが(たとえば外装ケースを外したうえ、ファンを取り去るとか)、ノート主義者に転向してからこっち、自然解決してしまったため、それ以来はこの問題は忘れ去っていた格好になっていた。

深夜ラボに置いてみると、かなりの音量。ずっと回している(だってサーバだからな)と、当方にかかるストレスは大きい。肩が凝ってくるし、心なしか吐き気すら覚える。

これはいかんと廊下に出してみたが、障子一枚のバリアでは、この黒色忿怒サウンドの破壊力は減少しない。

私以上にこの問題に反応したのはツマであった。彼女は私以上に音にヨワい。私がいない夜なんかはテレビもつけないし、もちろん、マシンの電源も落とす。シゴトをしていない時間は、なるべく音ナシでいるというのが彼女の基本姿勢だ。

これはユユしき問題だ、なんとかせいとごちゃごちゃ言うので、それに引きずられる形で、私も解決プランをいろいろ考える。

パソコン静音化というのは、いま流行の分野であるから、そのおおまかな方向性は知っている。その軸足は「要するにファンを静かなものにとりかえる」というものだろう。しかし、この方法を買ったばかりの既製品に施すのはためらわれる。自作にしなかった理由が、「完成品としての安定性、信頼性」を夢見てのことだからだ。そんなことするんだったら、はじめから自作路線で行けばよい。

ケースを作ってそれに入れる、とか、押し入れを改造して、そこを「サーバルーム」にする、などという計画も浮上したが、費用もそこそこかかりそうだ。今日、すぐに実行できるという対策でもない。

なんだかんだ考えた結果、導き出した結論は、音源から遠ざかる、という原則であった。音の大きさは距離の二乗に反比例する。だから大黒様との距離を今の3倍取れば、音のエネルギーは1/9になる。

私は八畳間の和室でシゴトをしている(そこをリキんで「深夜ラボ」と呼称しているのは既述の通り)。ツマはリビングの一角でシゴトしている。その間には玄関がある。ウチは昔の家なので、昔の家の常として玄関が比較的広い。ここには当たり前だけどだれも「住んで」いない。

ま、実験してみようと、ラックをゴロゴロ押して玄関に移動してみた。

仕事部屋に戻って机の前に座ってみると、息を殺し注意を集中しないと大黒サウンドは聞こえなくなっている。私と大黒様の距離より、ツマの机と大黒様の距離はすこし短いのだが、家屋の構造上の問題か、そこにもほぼ音は届いていない。

客があれば、いきなり2台(同じラックにWindows機も置いた)のマシンのケツを見せつけられるわけだから、ちょっと格好が悪いかもしれないが、なあに、構うことはない。客なんてほとんど来ないのだ。

第一、「守り神としての大黒様」の位置として、ここほどふさわしい場所もないだろう。

かくして私はサーバの事実上の無音化に成功したのであった。慶賀である。
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