2 ミトコンドリア・ミステリ
  [初出] 2005.0519  [最終更新]  [平均面白度] 4.09  [投票数] 11  [コメント数] 1
たいていのオトナは昔ならった「呼吸」のメカニズムなんか忘れちゃっているだろうし、だいいち、肝腎のぼく自身の記憶と理解もこころもとないので、まず復習から書き始める。

呼吸には「外呼吸」と「内呼吸」のふたつがある。

外呼吸というのは、ようは口や鼻から酸素を吸い込んで、二酸化炭素を吐き出すということ。外呼吸で吸い込まれた酸素は血液中のヘモグロビンに乗っかって、体中のそれぞれの細胞に運ばれる。個々の細胞では、与えられた酸素をつかって、細胞が活動するためのエネルギーを「発電」する。この細胞内での酸素の取り込みを「内呼吸」という。言うまでもないが、すべての細胞でこの作業が行われている。

つまり、体中のすべての細胞は、その中に酸素を燃料とするエネルギー製造工場をもっていることになる。このエネルギー製造工場がミトコンドリアである。

生物の分類の一番根っこの部分は2分類である。つまり生物は「真核生物」と「原核生物」に二大別される。原核生物は原核菌類(つまり細菌やね)と藍藻類だけで構成されている。つまりその他の生物、コケもヒマラヤ杉もミミズもタカアシガニもラクダもゴキブリも人間も、はすべて真核生物である。

ミトコンドリアは真核生物の細胞にはもれなく存在している。つまり真核生物全体にわたってのエネルギー工場がミトコンドリアである。

このミトコンドリアは、大昔には独立した生物であったと考えられている。むかしむかしあるところに、真核生物の元祖のような単細胞生物がいた。同時に酸素をエネルギー源とするミトコンドリア生物もいた。元祖のほうがミトコンドリアを食っちゃうかなんかして、体内に取り込み、いらい何十億年にわたって、ミトコンドリアは真核生物と一種の共生をおこなっているというわけだ。

つまり、ミトコンドリアはわれわれ真核生物が体内に抱えるエイリアンである。(そういう小説がありましたな)

共生説を裏付ける証拠のひとつに、ミトコンドリア自体が(核とは別に)DNAを持っているということがある。このことからももともとは別の生命体であったということがわかるわけだ。

ミトコンドリアのDNAは精子の核には存在しない。つまりこのDNAは母親から子どもへと伝えられる。この性質を利用して人類の起源をさぐる試みがあった(ミトコンドリア・イブ)ことはご承知の通り。

機能といい出自といい、なんとも魅力的なのがミトコンドリアだ。

ゆえあって、ミトコンドリアについての文章を書かねばならないことになった。そのため、ここんところミトコンドリア関係の本を乱読している。その中の一冊「ミトコンドリア・ミステリー」林純一 ブルーバックス。これがものすごく面白い。

まだ読み始めたばかり(つまり読了していない)のだが、あまりの興奮に、ひとまずページを閉じ、これを書いちゃったってわけだ。

いいぞ、むちゃくちゃ。
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いただいたコメント

さんによるコメント
他人の自慢話をこんなに面白く読めたのは始めて。ミトコンドリアと葉緑体はパラサイトエイリアンかもしれん説、精子のmtDNA悲話、高校の教科書に騙されてたミトコンドリアの姿かたち、、。ページを繰るたびに「へーーー!」写真や図を見ては「ほーーー!」、もう「へーほーへーほ」言いっぱなしの一冊でございました。[2005.06.04  #183]

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