8 赤痢で隔離入院したら差額ベッド代はどうなる?
  [初出] 2004.03.02  [最終更新]  [平均面白度] 4.14  [投票数] 7  [コメント数] 3
ここんとこ、ずっと気になっていることがあります。

さいきん、鶏インフルエンザの話題がかしましいじゃないですか。京都府丹波町の養鶏場の経営者はずいぶんだとは思いますが、その事件の前から気になっていたこと。

ほら、半径30キロ以内は移動禁止とか、出荷停止とか、なんとか報道されているわけですが、とうぜん、移動禁止、出荷停止処分を受けると、その地域内の養鶏場とか、非常におおきなダメージを受けますよね。

これって、国とか県とかから補償されるのだろうか。

たとえば、ぼくが養鶏場を営んでいるとしますね。で、25キロ離れた養鶏場で(あるいはペットで飼っていたチャボが)鶏インフルエンザの発症をみた、としますね。

いきなりぼくの養鶏場のニワトリは出荷停止ダと命令されるわけですよね。

ぼくとしては、こりゃ理不尽だと思うわけです。きっと、そう思うと思う。

お上は、おそらくは他地域への流行の拡大を阻止するため、そういう命令を発するわけでしょうが、そんなん、ぼくには何の関係もない。ぼくの考えていることは、自分の暮らしをどうするか、ってことでしょ。ぼくのニワトリが病気だったとしたら、そりゃ、出荷したりするのは職業人としての自己のプライドとか、倫理とかが脅かされるわけで、そういうことは、できればしたくない。

しかし、そうだからといって、いきなり30キロ以内だからアカンと言われれば、カチンときますね。

この命令によって利益を受けるのは、国とかです。流行地域が広がると困るからね。でも、この命令によって、ぼくは何の利益も受けない。

だから、この命令を実行するためには、ぼくに対し、その命令の合理性を証明するか、もしくは、ぼくの受けるだろう損害を補填する必要があると思うのです。

なんってっても、この処置により利益を受けるのは、命令を受けたぼくではなく、命令を発した側であるからです。

「30キロ以内」の業者にたいして、補償はあるのか、ないのか。

そりゃ、なきゃおかしいでしょ、と思う。もし補償しないのなら、29キロでも32キロでもなく30キロが合理的必然性を持つのだという証明をしなくてはならない。

そう思うのです。

しかし、そう考えてくると、気になるのは「法定伝染病」ってやつで、腸チフス・パラチフス・赤痢・コレラ・ジフテリア・猩紅熱・痘瘡・発疹チフス・ペスト・流行性脳脊髄膜炎・日本脳炎に不幸にして罹患すると、法律によって、「おれはしんでもええんじゃ、ほっといてくれ」とわめこうが何しようが、隔離病棟に収監されることになっている(んでしょ)。

そのとき、入院の費用は誰が払うのか。収監によって利益を受けるのは、(罹患した)ぼくではなく、社会ですね。ぼくは前記のとおり、しんでもええんじゃ、と思っているわけで、別に直して欲しいわけじゃない。そしたら、利益を受けるアンタ(社会)が費用をもつのは当然でしょ、という論理的必然があるようにも思える。

でも、それが許されるのなら。つまり、社会に重大なリスクをもたらす蓋然性をもちながら、自己の都合だけで行動する個人の「主体判断」を許容するなら、これは社会がたち行かない。

たとえば赤痢に罹った時に一番正しい(というか合理的な)戦略は、「ワシは死んでもええ。ほっといてくれ」と一応言ってみるということになるわけで、そんなむちゃくちゃなヤツの入院費用を(社会の構成員であるがまったく無関係の)ぼくが支払う必要は全然ないから、はらたつ、ということになります。

うーん、ジツのところ、どうなっているんでしょ。養鶏場に対する補償とか、法定伝染病患者の入院費用の負担は誰かとか。


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いただいたコメント

一読者 さんによるコメント
山口県阿東町の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した問題で、県は15日、半径30キロの移動制限区域にある17の採卵養鶏場に対し、出荷停止による被害について国と折半で全額補償するなどの支援策を発表した。国が助成対象外としたブロイラー養鶏場には県独自で補償する[2004.03.03  #8]
ほほー。そうですか。なんだかいろいろ考えてしまう。(いしだ)


一読者続き さんによるコメント
A 新感染症:未知の感染症で、その感染力や罹患した場合の重篤性が高いもの。
B 指定感染症:一〜三類感染症以外の既知の感染症で、1年間に限定して指定する。
C 一類感染症:5疾患(ペスト、ラッサ熱、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病)
D 二類感染症:6疾患(コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフス、急性灰白髄炎症)
E 三類感染症:1疾患(腸管出血性大腸菌感染症) 
F 四類感染症:国が感染発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症(59疾患)
Aは、全額公費
B,Cは、一部公費負担
E,Fは、通常医療保険適用範囲(ようするに、自己負担)[2004.03.03  #9]
ありがとうございます。これにはホント感謝です。前から疑問だったトコに光明をいただいたような感じです。

これをどう考えるかは、こんばんじっくりと。(いしだ)


室料差額不払運動提唱者 さんによるコメント
うーん、医療保険でいう入院費用と差額ベッド代は少し意味合いが違うようです。
差額ベッド代は、本来は患者側が特別室への入室を希望し、差額ベッド代の支払いに書面で同意した場合以外は徴収してはならないことになっています。
つまり感染症など治療上の理由で個室へ入室させる場合、病院側は建前としては差額ベッド代を請求することはできません。
そこで、ろくに説明もせず極めて事務的に差額ベッド代の支払い同意書に押印させるのが病院の業界の基本パターンになっています。
要するに病状や感染の危険度とはいっさい関係なく、同意書に押印したかどうかが差額ベッド代支払い義務のポイントです。
よってこの記事のタイトルはちょっと違うかも。
興味あればこちらをご覧ください。
http://www.hi-ho.ne.jp/kozzy/sagaku/index.html[2004.03.17  #12]
確かに。おっしゃるとおりか、と。(いしだ)


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