29 サマータイム
  [初出] 2004.09.30  [最終更新]  [平均面白度] 4.59  [投票数] 22  [コメント数] 3
すっかり議論がなりを潜めているように感じていたのだが、サマータイムを導入しようと言う策謀はいまも続いているらしく、しかも、政府はそれに乗り気であるのだそうだ。うかうかしていると、こんなアホみないな制度が法定されてしまうかもしれない。

しかも、サマータイム導入に対し、過半数の国民が賛成といっているともいう。

ホンキか? 諸兄。ホンキでサマータイムがいいと思っているのか。

なんでサマータイムを導入するかといえば、「環境にいい」かららしい。これまたホンキか、といいたい。

なんでも、サマータイム導入で700億円程度の省エネ効果があるとか。原油換算で50万キロリットル、CO2で44万トンの削減になるそうだ(「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書の概要(省エネルギーセンター))。

しかしねえ、日本全体のCO2排出量は12億トンあるんでっせ。12億円の借金があるとき、44万円の収入がどこまで効果的なのか、と。そりゃ、小さいことからコツコツとというのは、西川きよしに強く教えられたことなのだが、それにしても、サマータイム導入という各方面に影響がおよぶ施策をほどこしてまで、やる意味があるのか。

そもそもサマータイムというのは、20世紀の初頭にイギリスで生まれた考え方だ。このことからだけでもサマータイムのふたつの前提が見えてくる。ひとつは「高緯度地方の思想」であるということ。もうひとつは「工場型モデルの社会での思想」ということだ。

イギリス(だけでなく全欧州)は日本にくらべて極端に高緯度に位置する。ロンドンでは冬場は8時頃日が昇り、16時に沈む。いっぽう夏は3時半(冬時間の)にはすでに日が昇り、20時まで太陽が見えている。つまり、冬のデイタイムは8時間だが、夏場のそれは16.5時間ある。東京は冬至6:47ー16:32、夏至4:25ー19:00である。夏冬の違いがロンドンほどはないのだ。日の入りの時間を比べてみると、ロンドンでは年間で4時間の差があるが、東京では2時間半にすぎない。

もうひとつは、みんなの時計を早めましょうというのは、一斉始業、一斉終業の工場・学校でのモデルである。セイノで作業をはじめ、ヨーシでいっせいに終わるというモデルである。20世紀は工場・学校モデルの世紀であった。イギリスはその元祖みたいな国だし、この世紀の初めにここでサマータイムがはじまったというのは、まさにその象徴のような事実である。

周知のとおり、そのモデルはもはや機能しない時代になった。みんなが「クジゴジ」で生活しているわけではないのだ。10時はじまりの会社もまれじゃないし、逆に青果市場なんかは10時にはその日の業務は終わりつつあるだろう。24時間開いているコンビニは、もはや都市部だけの存在でもなくなった。

そういう社会は「環境に悪い」と言われれば、そりゃそうかもしれないが、それはサマータイムとは別問題である。サマータイムを導入したら、そういう暮らし方が少なくなるわけでもないだろう。

みんながばらばらの生活時間で暮らしている時代に、夏場だけ時計を1時間早めましょうといっても、何の効果があるというのだろう。

効果なんかありゃしない。とぼくは思う。件の報告書に書いてある数字だって、マユツバだぞ(マユツバでもあれしかないんですからね)。それよか、その効果のところに書いてある省エネ効果の明細に、家庭用照明需要が原油換算40.3万リットルの省エネ(これは最大の項目)とあるのにならんで、生産誘発に伴う増エネ効果が39.1万リットルとなっているところに注目したい。つまり、サマータイムの真のネライは労働強化であるのだ。

また参考資料3によればサマータイム導入には1000億円程度の費用がかかるとなっている。これもおいしい話だ。これに関係する方々も、サマータイム導入をばりばりに推進しておられるのだろう。

この資料には「なお、制度導入に伴う金銭的コストには、導入時に必要となる金銭的コスト以外にも、毎年サマータイムへの切替時に経常的に発生するコストも概念上は含まれるが、調査の結果、そうしたコストはほとんど存在していない。」とあるが、それもホントか。たとえばウチだけでも、コンピュータはさておくとしても、各種時計、ビデオデッキなどの電化製品、クルマの時計など、多数の「時刻表示装置」の調整が年に二度も発生する。おもいっきり面倒くさい。

その「面倒」に乗じて「サマータイム対応商品」が多数販売されることだろう。単純におもいつくのは電波時計。柱時計を買い換えようと思う家庭や企業もたくさんでてくるに違いない。

いちがいに消費を刺激するような策そのものが悪いというわけじゃないけど、これはあんまりである。やらなくてもいいことをして、それで何かを買わせようというのだから、そりゃ限りなく悪徳商法である。

だいたい、多くの人々が「夜型」つまり、遅寝遅起になっているのは、労働のせいではなく、余暇時間の使い方ゆえのことだ。端的にいえば、テレビの存在だろう。だからサマータイムなんてやらなくても、夏場はテレビの時間を1時間繰り上げればいいのだ。報道ステーションが9時から、News23が10時から始まるようにすると、多くの人が1時間程度早寝して、必然的に1時間早起きすることになるだろう。

その他、フレックスタイムのよりいっそうの導入であるとか、広告ネオンの制限とか、やれることはいくらでもある。なにも西洋かぶれの学級会のような決めごとをすることはないのだ。

諸兄。気を確かにもってサマータイムに反対しようではありませんか。
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いただいたコメント

鈴木雄介 さんによるコメント
クジゴジ暦23年(小学校からカウントすれば39年)のスズキです。もし私が小学生だったら、サマータイム大賛成!。外で遊べる時間が一時間も延長だなんてサイコー。

でも、サマータイムの境目に産まれた赤ん坊は何日産まれになるんだよ?。なんてツッコミ入れて調べたら、なんだ、、午前2時を基点にするのね。前後1時間ずれても日付は変わらないってわけだ。でも出生時刻とかめんどくさいだろうなあ、、、。境目日午前2時丁度に産まれたアカンボの出生時刻はどっち?。

[2004.10.02  #115]

さんによるコメント
おっしゃる通り。サマータイム絶対反対。賛成している方に一言。1日24時間が増えるわけでは無いのですよ。1時間遊んだら何処かで何か1時間あきらめるのですよ。[2005.03.02  #160]

さんによるコメント
おっしゃる通り。サマータイム絶対反対。賛成している方に一言。1日24時間が増えるわけでは無いのですよ。1時間遊んだら何処かで何か1時間あきらめるのですよ。[2005.03.02  #161]

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