26 京都の油揚げ
  [初出] 2004.08.06  [最終更新]  [平均面白度] 4.23  [投票数] 13  [コメント数] 3
京都の知人が旅行で東京に来て、夕食をともにした。そのとき、お土産でもらったのが「おあげ」つまり「油揚げ」。彼らにはなんども京都のお揚げがうまいと力説を繰り返してきたが、それを覚えていてもらったと見える。感謝感激だ。

近所のふつうの店で買ったのだという。それでいいのだ。別にドコドコのと店を指定するまでもない。京都のお揚げなら、どこでも同じようにウマイのである。それも彼らには以前から伝えてあった。

京都のお揚げはきわめてうまい。ぼくは京都生まれであるから、ひいきの気持ちがあるとか、舌がなれているとかと思われるかもしれないが、そうでもない。ずいぶん前に知り合いの老婦人が京都旅行に行く、土産はなにがいいかと聞かれたので、自宅用にはお揚げがいい。安いし、冷凍したら日持ちもするし、と答えた。後日、このアドバイスは絶賛されました。以来、彼女および彼女のグループは京都にいくたびに(それにしても、あの世代の女性たちは、なんと旅の回数が多いのか)、大量のお揚げを買ってくるそうだ。

それが老舗○○の○○とかというならわかる。食べ物はいわば手工業製品であり、その出来上がりは技術に左右される。店によってうまいまずいが生じるのは当たり前だ。しかし、ここでいうのはそんなレベルではない。そりゃ、京都のお揚げといっても、ドコドコのは超絶という逸品が存在しているかもしれないが、ぼくにはきっとその違いがわからないだろうし、わかったところで、そんなのに目の色を変えるのは下品だと思っているので、きっとパスするだろう。

そんなんじゃなく、どの店で買ってもうまいのだ。極端に言えばスーパーで買っても同じ。ぼくはいまは旅行者として京都へいくわけだから、買うならスーパーでなくデパ地下もしくは錦市場ってことになるが、それは問題じゃない。なにしろどこでもいいのだから。

外見でいえば、違いはサイズだけだ。東京で売られているものより、ずいぶん長い。1.5倍ほどあるだろうか。価格にそう違いはない。厚みも若干厚いくらいで、まあ同じようなものだ。

これが東京で売られているものと同名の食品というのもはばかられるような味だ。どのように調理してもいいのだが、頻繁に入手できない哀しさで、あぶって大根おろしとともに食べる。その一皿のなかでは主役として遇するわけだ。

「油揚げにうまいも不味いもないだろう。昔、動物性の食品がとりにくかったときに、タンパク質と脂肪を摂取するためのサプリメントみたいなもので、味なんかないぜ。ま、じゃっかんの食感ていどで」

そういうことをいう東男を、ぼくたちは冷ややかな目で見つめるのだ。
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いただいたコメント

畔@東男 さんによるコメント
ふーん、そんなもんかなあ?なんて思いながら
味噌汁にでもしようと、スーパー買いで冷凍保存の
お揚げを手にしてみると、製造元が京都は伏見のほう
だったりして、ちょっと驚く;-)
かみさんに聞いてみると、うちはかわらず、ここの
お揚げが特売ででるときだけ買い求めているんだそうだ。
さっきもスーパーでいろいろと手にしてみたりしながら
思ったのだけど、何がどう違うんでしょうねえ?
にがりだの、浮かし揚げだのさまざまなうたい文句に
くらくらしてしまう:-)[2004.08.09  #96]

鈴木雄介 さんによるコメント
E139.41.8.9 N35.39.55.0 (tokyo datum) あたりにある豆腐屋の揚げは美味いです、、、なんちゃって京都人の感情逆撫でしたりして。

ドコドコのナニソレが美味いの美味くないのということに血道を上げるのは下品だとおっしゃる京都人に一筆啓上。私の父は東京生まれ大阪育ちのハーフだが、食い物そのものが美味いとか不味いということを口にすること自体みっともない、カッコ悪い、ダンディズムに反すると思っているらしい。で、、、飯は炊き上がってから5分以内だの、味噌汁の具はあれこれだの、、、うるさいことこの上ない。こういう二律背反性は上方人特有だと思うのだが如何だろうか?。

話は飛ぶが、大阪市営地下鉄の痴漢防止ポスターは「チカン・アカン」というふざけたコピーを黄黒のタイガーズカラーで大書するというもの、東京のはかわいい女子高生が怖い顔して「ぜったいダメ!」というポスターだと大阪人に話すと「そら、大阪でそんなポスター出したらアカンがな。ダメとかイヤとか言うて、ホンマはワシのこと好きなんやろ、イヤよダメよも好きのうち、、、なんちう妄想を掻き立てるだけや」なんだそうである。

コトバを額面どおりに受け取る野暮な東男にはヤヤコシイ限りである。

ああ、、、冷ややかな眼で見られそうだ、、、。[2004.08.09  #97]

kozzy さんによるコメント
京都の「おあげさん」が美味いのは、そもそも京都の豆腐が美味いからではないでしょうか。
伝統の技術のせいか、丹波あたりの良質の大豆のせいか、伏水が美味いのか知りませんが.....。
私は大阪人ですが、京都の美味いものといえば豆腐とお漬け物と伏見の女酒を思い起こします。
逆にいえばその3つしか美味いものを知りません。
むしろ、飲食店では良い思い出がありません。
ビンボーだった学生の頃、正月といえば京都に行って観光地の食堂の正月料金という恐ろしく高くて不味い料理を食べたからそう思うだけかもしれませんが。
大人になってようやく雰囲気の良い店という味もわかるようになりました。

あと、どうでもいいことですが
大阪と京都とではかなり文化や気質が違いますし、相対的に京都の人のほうがプライドが高いので、大阪の地下鉄のコピーの話を京都の人にぶつけても「うちら大阪の人間とちがうしー」とでも言って、軽く冷ややかにいなされるような気がします。
そう、まるで大阪の人間とは住む世界が違うとでもいうような口ぶりで.......。
あくまでも一大阪人の個人的な経験則での話ですので、賀茂の流れのようにサラッと流してください。[2004.08.12  #99]

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